2023年12月12日—要約文を書く—

2023年12月12日(火)13:00〜16:15ころ

出席:小田さん、土居さん

卒業論文の各章各節の要約文を作成してきて、文体や論のはこびをおたがいに点検しました。前もってつたえてありましたけれども、要約文を書く目的やその利点は以下のとおりです(福岡教育大学におられた玉置先生の旧サイトから引用しました)。


◆論文の構成を明確に確認する。

 要約文は、この章でこの節で何をあきらかにすれば最低限の任務は果たせるかをできるかぎり端的に書くも のです。これを卒論の背骨とし、これに肉付けする形ですすめれば、たとえどこかの節で迷子になりかけても迷子になりかけていることが自覚できるし、気をとりなおして次の節から書きすすめ、あとからもどって調整することも可能です。自分のための道案内を作る、これがガイド文の第一の使命です。


◆論説文らしい文体の作文練習

 論説文には、論説文らしい文体があります。慣れない間は単に「もったいぶった書き方をすればよい」とか、「漢字を多く使えばいい」とか思われるかもしれません。実際、そういうむだなかっこつけの部分もないとはいえません。論説文がそういう書き方をもとめるのは、客観性・真実性という論文のもっとも大切な内実を手にするため、堅苦しい書き方をすることで印象や気分にあたることを書かなくなる、という心理的効果があったりします。

 要約文は箇条書きではなく、文章で書くことが目標です。この短い文章を作文することで、最低限、論説文らしい文体について考えてもらうことができます。長い文章よりもコンパクトな要約の方が、論説文らしく書きやすいので、ここで練習してリズムを作ってください。


◆そのまま卒論の本文に流用できる

 大きなメリットです。ガイド文は、各章・各節の要旨をコンパクトにまとめたもの、つまり卒論の背骨であり核心です。これを利用しない手はない。それぞれの節の実際の文章に入る前に、このガイド文の文章を、前書きのようにして、そのまま置いてみるとどうでしょう。読者は、「この節ではこういう話が展開するのか」とあらかじめ理解できて、とてもわかりやすくなります。そして、すでに何度か述ぺたように、読者にわかりやすいということは、執筆者にもわかりやすいということです。あるいは工夫しだいでは、第2章のガイド文を、第1章の最後に置いて、「次章では……について述べる」とか「次章では……について考えたい」と予告して、章と章のつながりをよくしたり、第2章のガイド文をその章の最後にもってきて、「本章では……について検討し、……が明らかになった」などとまとめに使うこともできます。またあるいは、論文の「結論」の部分で、「第1章では……、第2章では‥‥が明らかになった。これらのことから……」という利用法もあります。